2011年07月23日

思い出のプロ野球“名物オーナー”列伝

 「プレーオフとはよくしたもんだなあ。オレは反対したけど。楽しめるじゃないか」。巨人・渡辺恒雄球団会長の言葉は、いろいろな意味で楽しめる。3年前にパ・リーグがプレーオフを導入した時、「ウチが優勝したら、3位のチームがプレーオフに勝って出てきたって、日本シリーズはやらんぞ」と爆弾発言したことを思い出して、複雑な心境なのは間違いないだろう。巨人が3位でクライマックス・シリーズに出て、日本シリーズ出場を目指す可能性が大になっているのだから。

 それにしても、読売新聞社社長として、巨人軍オーナーとして、球界を揺るがす数々の語録を残してきた渡辺会長のマスコミに対する貢献度は計り知れない。現在の12球団オーナーが束になってもかなわないだろう。存在感のなくなってしまった、今のオーナーたちを嘆くと同時に、過去の名物オーナーたちを懐かしく思い起こす。巨人・渡辺オーナーに強烈なライバル意識を抱いていたのが、西武・堤義明オーナーだったという。西武OBがこう述懐する。

 「渡辺オーナーの発言がスポーツ紙の1面に載ったりしたら、もう大変でした。自分も負けずと、大きく取り上げてもらいたくて、ウズウズするんです。巨人とのオープン戦があったりすると、グラウンドでの長嶋監督のツーショットをせがんだりする。長嶋監督と握手する写真なら、スポーツ紙が紙面を大きく割くことを知っていますからね。裏方は大変ですよ。長嶋さんの所へ行って、『すいませんが、ウチのオーナーが会いたいと言っているんですが、ご足労願えますでしょうか』とお願いするんです。長嶋さんはああいう人柄で気軽に『いいですよ。喜んで行きますよ』とOKしてくれるので、助かりましたが。長嶋さんとのツーショットに大喜びの堤さんは、しっかりカメラ目線でポーズを取るんですからね」。

 カメラ目線といえば、巨人・正力亨オーナー(現名誉オーナー)が面白かった。フラッシュをたかれると、うれしそうに両手を握ったポーズを作る。だからストーブリーグ取材の夜回りの時にも必ずカメラマンに同行してもらう。「フィルムは入れなくていいから。フラッシュだけたいてくれれば、オーナーは機嫌がいいから」と事前に耳打ちして、取材したものだった。

 担当記者顔負けで二軍の選手のことまで熟知していた日本ハム・大社義規オーナーは、「ワシが手がけた事業で思うようにならんのは、野球だけや。リーグ優勝が一度だけやぞ。なんとか日本一になりたいんや」というのが口癖だった。残念ながら昨年の日本一を見ることなく他界したが、この人ほど野球同様に、酒を愛したオーナーはいない。

 日拓ホームフライヤーズを球団買収した当座は、高松と芦屋に自宅があり、東京は帝国ホテルが定宿だった。夜討ち取材に行くと、「オオッ、部屋にこいや。一杯やろや」と自室へ招き入れてくれて、やおらボストンバックを開けてボトルを2、3本取り出す。それからうれしそうにルームサービスに電話してツマミと氷を注文する。そのお酒の種類が傑作なのだ。我々薄給の身でもなじみのあるオールドから始まり、見たこともなかったロイヤルサルート、レミーまで、その時々で様々な種類のお酒が出てくるのだ。「お酒はなんでもおいしいんや」と、本当においしそうに飲む。こちらはもともとが下戸だったが、大社オーナーのおかげで、アルコールは鍛えられた。懐かしのオーナーたちを紹介し始めると、簡単には終わらない。またの機会に続編を―。
posted by エジリン at 09:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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