2012年04月29日

プロ野球の監督育成システム、メジャーに学べ

 来季の日本ハム新監督に梨田昌孝氏、ヤクルト新監督には日本ハムのGMを3年間務めた高田繁氏が就任する。梨田氏は“いてまえ打線”を看板に近鉄監督として01年にパ・リーグの優勝監督になっている。高田氏も低迷期の日本ハムの監督を経験、Aクラス入りさせた実績がある。共に大人の新監督と言えるだろう。

 ヤクルトは一時期、栗山英樹氏、高田新政権の投手コーチとして入閣する荒木大輔(前西武投手コーチ)という監督経験のない、40歳代の2人が有力な監督候補に挙がっていた。日本ハムもヒルマン野球の継承者として、同じ40歳代の白井一幸ヘッドコーチの昇格説もあり、本人も意欲満々だったという。が、両球団のフロント首脳は若さよりも経験を買ったわけだろう。

 梨田、高田新監督は適材適所と言えるが、日本球界の監督人事を見るたびに痛感するのが、監督育成のシステムがないことだ。どこの球団も現役時代の論功行賞でスター選手を監督にする。「日本の場合はスター選手が少ないから、どうしても監督にも人気、スター性を求めるから仕方ない面もある」という球界関係者もいるが、選手と管理職の監督では全く職種が違う。いきなり監督になって成功する方が珍しい。

 「いきなり監督をやって失敗すれば、それで能力無しのラク印を押されてしまう。二度と監督の話はこない」。スター選手からコーチ経験もなく監督になり失敗した球界OBがしみじみと語る。使い捨ての日本球界には監督育成システムがないからだ。「名選手必ずしも名監督成らず」というメジャーリーグでの格言がある。スター選手が監督として失敗した時に引用されるが、この言葉を鵜呑みにしてはいけないと教えられたことがある。日本一のメジャー通として知られていた、パンチョこと故・伊東一雄氏(元パ・リーグ広報部長)がこう語ったのが、今でも鮮烈に耳に残っている。

 「メジャーリーグの名選手のほとんどは監督にならないんだよ。本当は『名選手監督に成ならず』だな。なぜならば、スーパースターは現役を辞めても一生食える大金を稼いでいるから、年俸が安く、しかも、マイナーリーグからはい上がってこなければいけない監督なんかに興味を示さないからだ。メジャーの監督になりたい者は苦労を承知の上で、マイナーリーグの監督になり、成功した場合、自分が育てた若いスター選手を引き連れてメジャーの監督の座に上っていくんだよ」。

 メジャーリーグは、安易にスター選手を監督にする日本球界とはシステムが違うというのだ。おかしなメジャーかぶれが多いが、こういう大事な監督育成システムこそ学ぶべきだろう。広島が他球団に先駆け、二軍監督から一軍監督へというシステムを作りかけたが、いつの間にかやめてしまった。現在、二軍監督を経験してそれなりの実績をあげているのは、阪神・岡田彰布監督だけだ。他球団も見習って、この監督育成制度を確立すべきだろう。日本人に人材がいないから、外国人監督では芸がなさ過ぎる。
posted by エジリン at 17:30| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

若いヤツは知らない?プロ野球「空白の一日」事件を振り返る

 世の中を騒然とさせた大事件の「空白の一日」から29年の時を超え、当事者の江川卓氏と小林繁氏が、日本酒のCMで共演している。1978年のドラフト会議前日の11月21日に巨人が江川氏との契約を電撃的に発表。「ドラフト会議前々日に、西武の持っている江川君の交渉権は消滅している。江川君はフリーなので、契約した」という野球協約の盲点を突いたやり方だった。が、「空白の一日は、事務的な手続き上の意味から置いている。12球団の了解事項だ。巨人のやり方は明らかな違法行為だ」と11球団が猛反発。球界を激震させただけにとどまらず、社会的な大事件に発展した。

 「空白の一日」と言えば、誰もがよく知っていて、常識だと思っていたら、他社の記者がこんな話をしてきた。「ウチの整理部(紙面のレイアウトをしたり、見出しをつけるセクション)の若いヤツが『江川と小林のCM共演がなぜニュースなんですか』と聞いてきたんですよ。驚きました」。聞かされたこっちも仰天していたら、別の社の記者が「今の若い人たちは、江川が野球選手だったことを知らないんじゃないか。タレントだと思っているのでは―」と言い出した。

 そういえば、我が家の子供たちが学生の頃に定岡正二氏をお笑いタレントだったと思いこんでいたことを思い出した。甲子園のスターで、巨人の選手だったことを教えると、「エーッ、サダ坊って、野球選手だったの? 本当なの?」となかなか信用しなかったのだ。そうなのか、世の中を騒然とさせた「空白の一日」「江川事件」も段々と風化してしまうのかと胸中、複雑な思いになった。と同時に、語り継がないといけないのだと思い知らされた。

 江川氏との契約を認められなかった巨人はドラフト会議をボイコット。阪神が江川氏を指名して交渉権を獲得したが、大騒動は収拾するわけがない。巨人は「リーグ脱退、新リーグ結成」までぶち上げ、強硬路線を突っ走る。このままでは球界が崩壊すると危ぐした金子鋭コミッショナーが、「江川は阪神に入団する。その後に巨人へトレードする」という強い要望を出し、背番号3の阪神・江川が誕生、巨人・小林とのトレード成立。最終的に一件落着したのだが、「オズル」なる流行語も生まれた。当時の阪神の球団社長だった小津氏が「江川は絶対にトレードしない」と宣言しながら、結局、巨人とのトレードに応じたからだ。寝返るなどという意味で「小津る(オズル)」と使われたのだ。江川氏も悪者、犠牲者の小林氏は善玉という扱いで明暗が分かれた。

 が、一番の被害者は金子コミッショナーだった。「狂権発動コミッショナー」などと大バッシングされ、コミッショナー職を辞している。過去に財界G党の『無名会』のメンバーだったこともあり、巨人のお先棒を担いだと思われたから、なおさら激しい非難を浴びたのだ。しかし、富士銀行(現みずほ銀行)の頭取まで務めた実務家の金子コミッショナーの泥をかぶった強い要望が出されなければ、現在のプロ野球界はなかったのは事実だ。「再評価すべき人物」という球界関係者も少なくない。一理ある。歴史に残る大事件というのは、何十年も経たないと、本当の評価はできない。
posted by エジリン at 17:29| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

いつもの「足して2で割る」に終わるか、球界ドラフト改革

 来年以降のドラフトのやり方を決める、ドラフト制度検討委員会が迷走している。当初は「来年の3月までに決める」とジックリ検討する方針だったが、根来コミッショナー代行が「10月2日のドラフト制度検討委員会を徹夜でもいいからやって決めたい」と、唐突に一気決着宣言した。と思ったら、実際に2日に開かれたドラフト制度検討委員会は「長時間論議しても効率は上がらない。2時間をメドにする」というお約束を守り、いつものように2時間でお開き。

 「きょうは徹夜でもいいから徹底討論しようと思ったが、『用事があるので』という人が多かったから、仕方ない。明日が高校生ドラフトだから、みんな心ここにあらずやね」。根来コミッショナー代行はぶ然としていた。コミッショナー代行の力のなさと同時に、かつて球界の盟主といわれた某球団の落日ぶりが露呈された。

 裏金の温床扱いされている希望枠は廃止しても、選手の希望をなんとか取り入れたいのが某球団の思惑だ。今年の高校生ドラフトの目玉コンビだった大阪桐蔭・中田も仙台育英・佐藤が「どこの球団でもいく」と宣言。その言葉にウソはなく、日本ハム、ヤクルトから指名された中田、佐藤ともスンナリ入団するだろう。選手の希望を入れれば、自分のところが有利になると思っているのは、某球団の時代錯誤、大いなる勘違いなのだが、全く気づいていない。

 それなのに、根来コミッショナー代行も「個人的な意見だが、選手の希望を入れた方がいい」と後押しする格好だ。が、他球団の大半は冷めた反応。「そういえば、そんなことを言っていたな」という球団代表までいたほどだ。「昔は鶴の一声で決まったのに、本当に力がなくなったな」。球界関係者が某球団の威信低下ぶりを口にする。何かといえば、「球界改革」を唱える12球団だが、空念仏。某球団が単なる12分の1の球団になったのが、せめてもの「球界改革」なのか。

 ドラフト改革の行く先は、またもや日本球界の「足して2で割る」得意技に落ち着くのだろう。今季のセ、パの交流戦決着方式だ。36試合の現状維持を訴えるパ・リーグと、24試合減の12試合を主張したセ・リーグの真っ向対決を、結局、その中間の24試合で一件落着させている。

 そのデンでいけば、完全ウエーバー制度と抽選制度のミックス。1、2位は入札抽選、3位以下は成績下位球団からのウエーバー制度だ。3日行われた高校生ドラフトと同じようなスタイルになるのだろう。ただし来年からは、高校生も分離ドラフトではなく、大学生・社会人と一本化される。だから入札抽選は1位だけにせず、2位までにするのだろう。長いドラフトの変遷を見ても、ドラスティックな改革は行われていない。その場しのぎで終わっている。今回もそうなり、「何がドラフト改革だ」とあきれ返ることになるのだろう。
タグ:ドラフト
posted by エジリン at 17:26| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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