2011年06月26日

高野連vs読売の裏に朝日vsプロ野球の構図

 高野連が読売新聞社に対し、記事の訂正と謝罪を求めている。夏の甲子園大会が始まる直前に『高野連って何?』というタイムリーな企画を3回連載。その中で「特待生制度は、選手強化、野球のレベルアップに何もしない高野連に代わり、私立校が財政負担している一面もある」という部分に高野連がクレームをつけたのだ。

 「何もしない」という記述は、「全く事実に反する報道」と記事の訂正、謝罪を求めたが、読売側は「問題とされた記述は、高野連の活動が十分でないという趣旨の論評であり、訂正の必要はないと考えます」と反論している。読売サイドの言い分は当然だ。論評を許さないなどという態度は、それこそ高野連の驕り高ぶりを端的に表している。

 特待生制度禁止問題で世間から袋叩きにあった高野連にとって、それだけ読売の連載企画は痛いところを突いていたのだ。連載の「上」が「憲章タテに巨大影響力」、「中」は「税制優遇、収益還元を」、「下」では「独自の組織論変わるか」というテーマが取り上げられたが、それぞれ高野連が抱える問題点を厳しく指摘している。

 本来なら、耳に痛い忠告として素直に拝聴すべきだろう。それなのに、高野連は記事の訂正と謝罪を求めるという、高慢な態度を取っている。あれだけ前近代的な感覚の時代錯誤な組織のあり方を批判され、「高野連解体すべき」という解体論まで出たのに、全く現実わかっていない。が、相手が読売ということも、高野連の過剰な反応になっている一面もある。

 日本の球界は、裏では高野野球=高野連=朝日新聞vsプロ野球=読売新聞という、ライバル新聞社同士の対立の構図もあるからだ。実際に、世論も特待生制度を頑なに認めようとしない高野連の態度を総批判したのに、朝日新聞だけは高野連擁護に回っている。逆にプロ野球で不祥事が起こると、コミッショナー批判の急先鋒は、朝日新聞と決まっている。

 新聞の拡販の切り札として巨人軍を擁する読売vs高校野球を頂く朝日新聞という、新聞戦争の構図は簡単には解消されないだろう。そして、高校球界とプロ野球界の融合もなかなか進まないことになる。が、チャンスがないわけではない。巨人軍の地盤低下で巨人=プロ野球界という図式は変わってきている。勝てずに人気暴落している巨人軍は、球界の盟主の座を転げ落ち、プロ野球界のイニシアチブを握っていない。巨人が提案しているFA資格取得期間の短縮など、他球団の反対にあって、なかなか実現しない。

 リーダー不在で混迷するプロ野球界という面も露呈しているが、全会一致という前近代的な決め方を改め、野球協約に定められた多数決を採用すればいい。そうすれば、巨人軍が支配するプロ野球界という過去の図式が完全に消える。そして、今度は現在の高野連の事実上の解体、ニュー高野連を誕生させることだ。それには、特待生制度禁止問題で盛り上がった高野連批判の世論を持続させるしかない。高校球界=プロ野球界が緊密な関係になってこそ、危機が叫ばれる野球人気が初めて回復する。
ラベル:高野連
posted by エジリン at 10:52| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

巨人の威信低下、原因は生臭い“天下りフロント”

 来季のパ・リーグとの交流試合数の削減、来年の北京五輪開催中のアマ球界との交流試合。巨人の提案はいずれも一蹴されている。長嶋第一次政権(1975年―80年)時代の巨人担当記者としては、信じられない思いがする。巨人が何か提案すれば、11球団が追従してそれで決まり。そういう時代に巨人担当記者をしてきただけに、目を覆うばかりの威信低下ぶりには驚かされる。

 4年に1度は五輪もあるというのに、4年間優勝できず仕舞い。人気暴落、地上波で巨人戦が放送されないのは、今や日常茶飯事。勝てば官軍、負ければ賊軍は勝負の世界の常だが、それだけが理由ではないだろう。巨人フロント首脳は結局、人材不足だし、さらに、適材適所のグループ内人事異動が行われていないという事実を痛感する。

 球団幹部のポストに読売新聞社から天下ってくるのは、昔からの話だが、人選の基準が変わったことが、失敗だろう。正力亨オーナー時代は、「読売からきたフロント首脳は巨人軍を強くしようという気持ちがあった。だから現場首脳とのスキンシップもあったし、現場、フロントに一体感があった」というのが、当時の担当だった我々の正直な感想だ。

 江川事件で知られる故・長谷川実雄代表などその典型だった。江川事件の是非はさておき、「巨人軍を再建するには、江川がなんとしても必要だ」という長嶋監督の強い意向を受けて、長谷川代表は動いている。泥もすべて自分がかぶった。「陳謝の実ちゃん」などと揶揄されたが、すべては巨人軍のためにという、一本筋が通った人物だった。「さすが読売新聞社の編集局長を務めた人だ」と感心させられたし、新聞記者の大先輩としての忠告もされたものだ。

 「新聞記者はデスクになったらお終いだよ。他人の原稿の手直しばかりしていたら、退歩するだけだ。現場にいてこその新聞記者だよ」という言葉を今でも鮮明に覚えているし、肝に銘じている。20代の駆け出しの若造記者にとって、元編集局長の一言は重みがあり、素直に耳を傾けた。私心がない。読売新聞で一時代を築いた人物だからこそ、「後は巨人軍のために」という純粋な気持ちになれたのだろう。

 ところが、渡辺恒雄オーナー(現球団会長)になってから、生臭い連中が巨人へ天下ってくることになった。巨人軍で認められ、読売に戻って出世したいという輩が送り込まれるようになったのだ。常に渡辺オーナーの顔色をうかがい、現場の監督、コーチ、選手のことなど眼中にない。巨人軍は自分にとって出世の踏み台にすぎないから、本当の愛情などあるわけがない。

 あの他人の悪口を言わない長嶋さんが巨人監督に復帰した後、「ウチのフロントはユニホーム組をなめているのか」と激怒したことさえある。他球団に相手にされない今の巨人フロント首脳も、その延長線上にある。巨人改革は、読売で一時代を画し、卒業した大物をフロントに据えないと、他球団の巨人離れは進む一方だろう。球界盟主の座に復帰など夢の夢だ。
ラベル:巨人
posted by エジリン at 10:50| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

“真夏のストーブリーグ”取材の思い出

 オールスター前に、阪神球団が担当記者に対し、岡田監督、選手の自宅での取材自粛のお願いをしたという。優勝候補に挙げられながら、期待を裏切った成績に甘んじているだけに、記者仲間では辛辣な意見がある。

 「真夏のストーブリーグ封じ込めのつもりかもしれないが、ヤブヘビになりかねないな。『そうか、球団が自宅取材自粛をお願いするということは、それだけ各社が動き回っているということか。ウチもやらなきゃいかん』という社も出てくるだろうな」。

 へそ曲がりは新聞記者の特性だから、こういう裏読みをするのだが、確かに当たっている面もあるだろう。「ストーブリーグは真夏に始まる」というのは、球界の定説だ。オールスター後には、来季に向けた首脳陣人事、トレード、FA選手獲りなどのストーブリーグが、水面下で動き始めるからだ。企業の人事異動と同じで、事前の漏洩は御法度。決定前に明るみになれば、ストーブリーグはご破算になる。だから、球団首脳への取材も本音を探るための禅問答のようになる。

 後半戦開始前に、巨人・渡辺恒雄球団会長が、原辰徳監督と会食しながら前半戦の報告を聞き、「さすがオレが見込んだ監督だ」と絶賛したという。これなど、まさにストーブリーグ用対策の発言の典型だろう。一流の経営者というのは、さすがに二枚舌、三枚舌を持っているという証明になる。

 実際は、北京五輪日本代表・星野仙一監督(阪神シニアディレクター)の擁立、ソフトバンク・王貞治監督の招へいに失敗した結果、仕方なく第三の男・原監督を復帰させたのに、平然と「さすがオレが見込んだ監督だけのことはある」と言い切るのだから。

 オールスター前から失速したチーム状況を考え、原体制にお墨付きを与えることで、真夏のストーブリーグを封印しようという、渡辺会長の政治的な発言だ。もう一つ、特別な理由が考えられるだろう。「来季、原監督続投」発言をした際に、ソフトバンク・王監督の招へい失敗を自ら一部担当記者に漏らしてしまったからだ。当然、原監督にしたら平静ではいられないだろう。そこで、アフターケアとしてリップサービスした意味合いもあるのだろう。

 ストーブ取材で、今でも思い出すとニヤリとしてしまうのは、正力亨オーナー(現名誉オーナー)の発言だ。連日のように自宅へ押しかけ取材したが、嫌な顔一つせずに応じてくれる。ある時、「君、きょうは築地か?」と言われ、「エッ、築地ですか?」と絶句してしまった。「わからない男だな。築地は河岸がある所だろう。生臭い話の取材かと聞いているんだよ」との答えには、「なるほど、恐れ入りました」と脱帽した。

 長嶋茂雄監督(現終身名誉監督)にコーチ人事の裏取り取材をした時のことも忘れられない。ウソをつけない人だから、間違っていれば、「恥をかくから書かない方がいいよ」と否定してくれる。口ごもったら、正解だ。ところが、その時はいきなり「いったい、誰から聞いたんだ」とあまりにもストレートな反応。笑いをかみ殺すのに大変だった。ストーブリーグ取材は、ひたすら待ちの忍耐のいる仕事だが、首脳陣の素顔にも触れられる最高に楽しいひとときでもある。
posted by エジリン at 10:42| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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